蔵王の大自然を満喫 心身ともに健やかに
ゆと森倶楽部

東北地方にあるホテルの中で、いち早くオールインクルーシブを取り入れ、朝食を洋食のみにするなど、常にチャレンジをしてきた『ゆと森倶楽部』。これまで美と健康をテーマに食事やアクティビティを用意していたが、2021年に宿周辺を大きく整備し「NIWA」をリニューアル。美と健康に加え、蔵王の自然を満喫できるような過ごし方ができるようになった。
玄関に到着して開口一番、「池ができている」と驚きとともにつぶやく。玄関そばから「NIWA」の一部となり、広い水鏡が木々を映している。チェックインを済ませれば、その後の過ごし方は自由。早速ラウンジでコーヒーを淹れ、「NIWA」へと繰り出した。新しく整備されたテラスのベンチもいいが、せっかくだから、と遊歩道を散策しながらチェアリングできる場所を探す。自分のお気に入りの景色の中で飲むコーヒーは格別だった。少し離れた場所では、ジェラートを食べている人もいれば、フィンランドのスポーツ・モルックに興じるグループもいた。


寝室で少しくつろいだあと、ダイニングに向かう。夕食はオーダーブッフェだが、前菜、サラダ、メイン、スープと、自分でコースを組み立てられるラインナップだ。この日は「初夏の採れたて野菜」を前菜に、「アスパラガスと穴子」「柔らか牛肉」の2つのメインをチョイス。どれも野菜がたっぷりで、お腹いっぱい食べても身体が軽い。蔵王周辺の生産者から取り寄せる野菜が多く、意外な出合いもあった。目の前で料理が仕上がっていく様子を見ているのも、待ち時間を感じさせない演出だ。ワインやドリンクも豊富で、組み合わせを考えるのも楽しい夜だった。
翌朝、貸切露天風呂「しかく」へ。渓流の瀬音、新緑の緑で耳も目も心地よく、思わずうとうとしてしまう。心が洗われるようだ、とはよく言うが、まさに今のようなことを言うのだなと実感する。湯上がりに、河原近くで時間を過ごせる「瞑想の間」へと降りてみる。自然と一体になれるような時間で、不思議と頭が冴えてくる。その後の朝食は、季節の野菜を存分に楽しめることと、「休日の朝はパン食にしてゆっくり食べることが多い」という声もあり、洋食に切り替えたそうだ。
『ゆと森倶楽部』には暖炉と焚き火がある。火が入ると自ずと人が集まり、焚き火に至っては黄昏どきになると集う人同士の会話がぽつり、ぽつりと生まれる。宿名の〝倶楽部〞に込められた〝集う〞を象徴する場所だ。これから、同じ時間を宿で過ごす人同士の交流にも力を入れていくという。さらなる〝理想の日常〞の追求が楽しみでならない。



料理長の斎藤克美さん。「生産者とともに作り上げる料理」を目指し、産地訪問にも積極的。
サイト掲載日
雑誌掲載日
※本記事の情報は掲載時の情報です
- 取材・文:小林 薫(編集部)
- 写真:齋藤太一