森の中を散策しながら現代彫刻と四季の草花を満喫
石神の丘美術館

いわて沼宮内駅から徒歩10分ほどに位置する「石神の丘美術館」。1973年から30回にわたって「岩手町国際石彫シンポジウム」が開催され、〝彫刻の町〞としての伝統があったことから、県内初の野外美術館として1993年7月に開館した。2002年には隣接地に「道の駅石神の丘」が新設されたのを機に美術館の建て替えが行われ、2021年には石神山の斜面を利用した野外エリアが「花とアートの森」としてグランドリニューアルオープンしている。
「『石彫だけでなく、さまざまな彫刻作品を野外で楽しんでほしい』というコンセプトのもと、『花とアートの森』には現代彫刻家の24作品を展示しています」と説明するのは、学芸員の齋藤桃子さんだ。約1.5㎞の散策路に設けられた「空の広場」「風の広場」「あそびの広場」などのエリアに、動物をモチーフにした作品で人気の三沢厚彦氏のブロンズ彫刻や、金属を素材とした軽量なスケルトン構造の作風で知られる西野康造氏の作品などがちりばめられており、作品そのものはもちろん、豊かな自然に溶け込むような展示の工夫も見どころだ。また、新たな魅力として加わったのが、路傍に植えられた100種類以上の植物。季節ごとに彩りを添える草花を愛でながら、自然散策と芸術鑑賞を心ゆくまで満喫することができる。ラベンダーや紫陽花が見ごろを迎える6月下旬から7月上旬にかけての期間は特におすすめだ。

館内の企画ギャラリーでは、岩手ゆかりの作家の作品を中心とした展覧会も周期的に開催している。「企画展に関連して『花とアートの森』にも作品を展示するなどしています。館の中と外の両方でアートとの出会いを楽しんでもらえたらうれしいです」と齋藤さん。気候が良くなるこれからの季節、ぜひ足を運んでほしいスポットである。


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- 取材・文:鎌田ゆうこ