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温泉、スパ、バー、食事… 世界水準の〝スパリゾート〞を目指して

竹泉荘 CHIKUSENSO ONSEN

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  • スパ
  • 鉄板焼
記事制作:
Kappo
竹泉荘 CHIKUSENSO ONSEN

竹林に囲まれた建物を覆うように、背筋がぴんと伸びるような空気が漂う。重厚な扉の先、玄関で靴を脱いでうち履きに履き替える。スタッフの方々の朗らかな笑顔と応対に緊張が和らぎ、レセプションを後にする頃には、すっかりその空気になじんでいた。ラウンジの暖炉に吊るされた鐘。その悠然たる姿は、宿の持つ独特な雰囲気を具現化しているかのようだ。玄関すぐのカウンターに見立てた囲炉裏や仙台箪笥をテーブルにしたレセプション、格子越しに見える外の緑、竹林からこぼれる陽の光。奥ゆかしさを感じる設えは、『竹泉荘』のデザインコンセプトである「モダンジャパニーズ」をしっかりと表現している。

遠刈田温泉を代表する高級旅館だった「竹泉荘」をリニューアルし、2010年に現在のかたちでグランドオープン。当時、宮城県で初となるラグジュアリー外資系ホテルとして注目を集めた。全体設計は宮城の建築家・阿部仁史アトリエが、館内デザインを「ザ・ペニンシュラホテル東京」をはじめ、数多くのレストランやホテルの空間デザインを手がけた橋本夕紀夫デザインスタジオが担当。宮城・日本を代表する才能が蔵王に集結したことでも話題となった。客室は全部で30室。スタンダードなデラックスツインルーム、ほかの誰とも合わずにチェックインができ、専用の露天風呂を使えるプレジデンシャルスイート、源泉かけ流しの露天風呂のあるバルコニーが付いたガーデンスパスイートなど、部屋のタイプは13ある。建物の規模に対して客室数が少ないうえ、稼働も50%前後に留めるとあって、ゲストはゆったりと贅沢に空間を利用できる。

〝温泉リゾート〞なだけあって、風呂の充実ぶりがうれしい。男性専用の「竹織の湯」には野趣あふれる岩風呂の露天、女性専用の「みずならの湯」は、内湯から続くデッキに3つの露天風呂が配されている。もともと生えていた木をそのまま生かしたデザインで、外を流れるダイナミックな川音を聞きながらの湯浴みは、目を閉じれば川沿いに身を置いているような錯覚に陥る。2024年4月に再開したスパは、タイ・バンコクのラグジュアリーホテル「スコータイホテル」内に本店を構え、ベストスパの称号を持つ「スパボタニカ」唯一の姉妹店。スチームサウナやリラクゼーションラウンジなど、目を瞠るほどの設備である。フィットネスジムも、これからさらに充実を図る予定だという。

十和田石の露天風呂が付いたガーデンスパスイート。和室、ベッドルーム、リビングルームとミニバーを併設。アメニティはイギリスの「bamford(バンフォード)」。全室にバスタブがある。
女性専用「みずならの湯」の露天。3つある浴槽はそれぞれ湯の温度が異なり、体調や時間帯に合わせて選べる。
宿の象徴とも言うべきラウンジの釣り鐘は、瑞巌寺の鐘をイメージしている。

夕食は、6月から新たにスタートした鉄板焼懐石をメインダイニング「竈神」のカウンターにて。〝山と水の饗宴〞を掲げるレストランだけあって、海の幸、山の幸がバランスよく登場する。鉄板焼はアワビと肝のソース、ドライトマトとケッパーのさっぱりとしたソースの鯛からはじまり、伊勢海老のアメリケーヌ、仙台牛のフィレステーキとメイン3つが共演する、なんとも贅沢な運びだ。食後はダイニング隣の「The Bar」へ。シェイカーを振るのは、元仙台ホテルのシニアバーテンダー・佐藤幸博さん。気さくに、しかし気品を持って一杯を仕上げてくれる。いい気分で最上階の「雲海ラウンジ」へ。日が出ているうちはこの周辺で一番高い場所からの景色を望めたが、夜は星空に一番近い場所だった。

翌朝、バルコニーの露天風呂を楽しむ。部屋の外に流れる小川は、玄関の近くにあった滝から流れているらしい。陽の光をめいっぱい浴びた新緑を目の前に、かけ流しの源泉に段々と身体が目覚めていく。メインダイニングでの朝食は、一組ずつ土鍋の炊きたてごはんが並んでいる。蔵王源流米のひとめぼれをふっくらと炊き上げる技は見事だ。「味見ができないから、お客様に『おいしい』と言っていただいて初めてホッとできます」とスタッフの方が話してくれた。

『竹泉荘』が支持を集める最大の理由は、さまざまなゲストに対応できる設備とホスピタリティだろう。部屋で〝お籠り〞するもよし。館内で湯巡りを楽しむもよし。スパ&温泉で美をとことん追求するもよし。予約すれば食前に「The Bar」でカクテルを嗜むこともできる。食事もクオリティを維持したままのヴィーガン対応を試みるなど、どれも世界水準を目指している。スタッフもみな、〝竹泉荘プライド〞とでも言うべきか、この宿で働いていることを誇りに思っているように見える。上質に身を置き、その充実感を味わうというのも、一つの旅のかたちだろう。

炊きたてのごはんを主役に、海鮮湯豆腐や山かけなど、海のものも取り入れた朝食。
口直しのグラニテを挟んで、肉料理の仙台牛フィレステーキ。土佐醤油、岩塩と、料理長特製のソースなど、味付けを変えながら。

竹泉荘 CHIKUSENSO ONSEN

住所
刈田郡蔵王町遠刈田温泉上ノ原88-11
電話
0224-34-1188
宿泊料金
1泊2食 1室2名利用・1名4万3000円~
※ガーデンスパスイートは 1泊2食 1室2名利用・1名6万8400円~
※鉄板焼き懐石を選択の場合は別途プラス料金
部屋数
30室
IN
15:00
OUT
11:00
住所
刈田郡蔵王町遠刈田温泉上ノ原88-11
電話
0224-34-1188
宿泊料金
1泊2食 1室2名利用・1名4万3000円~
※ガーデンスパスイートは 1泊2食 1室2名利用・1名6万8400円~
※鉄板焼き懐石を選択の場合は別途プラス料金
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※本記事の情報は掲載時の情報です

  • 取材・文 :小林 薫(編集部)
  • 写真:斎藤太一