55 Stations|新幹線で行く、思いがけない出会い

新幹線で行く思いがけない出会い
JR東日本の新幹線で行ける55駅の魅力情報が満載!

くりこま高原

くりこまこうげん

Kurikoma-Kogen

自然、アート、歴史が融合する 200年の物語の新章が幕開け

複合施設 『風の沢』

  • 栗原市
  • グルメ
  • 宿泊
  • オートキュイジーヌ
  • ホテル
  • アート
  • 古民家
記事制作:
Kappo
複合施設 『風の沢』

築200年の朽ち果てかけた古民家を、買い取った杉浦節美さん自らが修復したうえ、周辺の里山を散策できるよう整備。その後ギャラリーとして開業した「風の沢ミュージアム」が、国登録有形文化財に指定された母屋・馬屋を活用したホテル、レストラン、里山フィールドを含む複合施設『風の沢』として今年2月、新たな歴史を歩み始めた。

宿泊は、1日1組限定。メインダイニングとフロント・ロビーを兼ねた母屋、馬屋を改装した寝室など、5棟の建物と広さ5千坪以上の敷地を貸切りにできる。どの建物も現代アートや民芸品、古美術品などを随所に配し、過去と現代が交錯するような元ミュージアムならではの空間。外に出れば、鳥のさえずりや風に揺れる草花の香り、季節ごとに移ろう里山の風景。春は新緑、夏は涼風、秋は紅葉、冬は雪景色と、訪れるたびに新しい表情を楽しめる。

2010年に国登録有形文化財に指定された、茅葺きの母屋(手前)と馬屋。母屋は約200年前、 馬屋は約150年前に建てられており、この地域では一般的な大きさの農家の家だった。
寝室は馬屋の中にさらに別空間を設計。天井から吊るされた現代いけばな作家・松田隆作の照明が印象的。寝室を分けたい場合は予約時に要相談。

食事は、シェフの高山仁志さんが手がける料理を母屋にて。夕食は〝東〞の〝人〞の食材、郷土料理を現代的な解釈で再構築する「Azuman cuisine」をテーマにしたオートキュイジーヌで、12〜15品ほどを提供する。

朝食は打って変わって、目の前の田んぼで穫れたひとめぼれや、敷地内で高山さんが収穫した行者ニンニクの醤油漬け、焼き胡麻豆腐など純和食。食材そのものの味わいを大切に引き出しつつ、料理によっては植物性の食材のみで仕立てたソースやダシを用いるなど、サスティナビリティも意識している。メインダイニングには、現代いけばな作家・松田隆作と、陶芸家・吉川正道の作品を展示。古民家の空間に溶け込むようなアートが、食事を芸術的な時間として演出してくれる。ほかにも茶室や瞑想室を備え、滞在中は自由に利用可能。宿泊すれば、歴史と自然、アートが融合した空間で、芸術のような美しい暮らしを体感できる。

朝食も母屋にて。味噌汁のダシは植物性のみだが、しっかりとカツオの風味があった。
「〝岩手県 ビーツ〞ガスパッチォにして玉ねぎのムースと共に」
「〝宮城県 いしなぎ〞炭焼きにしてサスティナブルビスクで」
「〝宮城県 鯖〞マリネにして ラフランスと生姜のピュレ」
「〝宮城県 蝦夷鮑〞柔らかくして炭焼きにその肝のソースで」

宿泊時間以外は、これまでと変わらずミュージアムとしての機能を維持。さらにセレクトショップのオープンやカフェレストランのリスタートなど、今後の展開もめじろ押しだ。新しい『風の沢』で、日常から少し離れる特別な時間を過ごしてほしい。

馬屋に併設された、別棟の浴室。ヒノキの香りが心地よい。
母屋のダイニング。壁には松田隆作の作品「闇と影」、隣室には松田と陶芸家・吉川正道の常滑焼のオブジェを組み合わせた、人の一生を表す空間がある。
シェフの高山仁志さんと、サービス担当の高山絵里子さん。

風の沢

住所
栗原市一迫片子沢外の沢11
電話
0228-52-2811
宿泊料金
1泊1棟貸切 木・金曜8万8000円、土曜10万5600円、日曜9万6800円(食事料金は別途2食1名2万5000円)
ミュージアム入館料
1名500円(11:00~14:00)
定員
4名
IN
15:00
OUT
11:00
住所
栗原市一迫片子沢外の沢11
電話
0228-52-2811
宿泊料金
1泊1棟貸切 木・金曜8万8000円、土曜10万5600円、日曜9万6800円(食事料金は別途2食1名2万5000円)
もっと見る

サイト掲載日 

雑誌掲載日   
※本記事の情報は掲載時の情報です

  • 取材・文:小林薫(編集部)
  • 写真:齋藤太一