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宮城の食材、その物語の語り部として

L’atelier de vivre ラトリエ ドゥ ヴィーブル

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記事制作:
Kappo
L’atelier de vivre ラトリエ ドゥ ヴィーブル

吉田勝信さんにとって「料理する」ということは、良質な食材、良質な生産者の魅力がより伝わりやすいようアンプリファイドすること。遍在する美点にひとつひとつ焦点を当てるルーペの役割と言ってもいい。『ラトリエ ドゥ ヴィーブル』、それは「いのちの工房」。開店から12年を経た今も、吉田さんが見つめるものは変わらない。世の中が彼に追いついてきた、とさえ言えるのかもしれない。

炎帝に焼かれた身体をなだめるような冷製ビスク。その主役は石巻の谷川浜で渥美貴幸さんが育てた活ホヤ。震災によってすべての養殖棚が流されたあと、沖合で奇跡のように生きていた天然ホヤを大切に採苗し、増やし育てた宝のようなホヤだ。吉田さんは届いたホヤを身と殻に分け、殻を炒めて香りを出しコニャックやノイリー・プラット、トマトを加えて裏漉しし、大郷町・菊池牧場の放牧牛乳で割ってクリーミーなビスクに。ホヤの身は低温で柔らかく火入れし、ホヤ水をジュレに仕立てて刻んだアップルマンゴーとともにビスクに浮かべた。調味料は使わず、味のボディはホヤのみ。食材で唯一、ホヤのみが有する五味を活かした仕立てだ。

『ラトリエ ドゥ ヴィーブル』に集う野菜を旬に任せて寄せたような極彩色のサラダ。南三陸町の星さんのケール。村田町の自然農場「風天」の赤玉葱、あやめかぶ、ビーツ。大滝自然農園の人参と紫キャベツ。マルセンファームのトマト。若林区六郷「しばさき農園」のサニーレタスとトレヴィス。栗原市「菅原農産」のベビーリーフに宮城野区「浅野農園」のエディブルフラワー。それぞれコンフィやマリネ、ピクルス、ラぺなど多彩な調理が施され、味わいも極彩色だ。優しいフォルムにたくましい味わいを秘めた「はやせ鮎」は、エラと血合いのみ除いて香草でマリネ、92℃で6時間のコンフィに。骨や頭までほろほろの身にぎっしり詰まった旨み、はらわたのほろ苦さ。ミントとバジルのオイルを得たキュウリとスイカが、青い風味で鮎の味わいを際立たせる。

大衡村「宮城グラスフィールド」の羊は、「了美ヴィンヤード&ワイナリー」のブドウの搾りかすや米を食んで育った放牧羊。半頭買いで仕入れるのでさまざまな部位が楽しめるほか、ハツやタン、レバーなども味わえる。今回は月齢8カ月ほどのラムのセル(鞍下肉)を脂身で巻き、藁の香りをまとわせながら炭火焼に。仙台市荒井の佐藤さんの枝豆と玉葱のプティポワ・フランセーズとフォン・ド・アニョーのソースが間違いのない組み合わせだ。

転調に転調を重ねるように、意外性に満ちた展開で供される「おまかせ」。7皿の料理は、そのすべてに唯一無二の物語がある。それぞれの物語にふさわしい調理法や器を選び、吉田さんは今夜も語り部となるのだ。

「Miyagi野菜のサラダ」。宮城の野菜のいまを体現するサラダは、野菜そのものの味わいを活かし玉葱と黒胡椒、伊達の旨塩、米酢のシンプルなドレッシングで。
「ホヤの冷製ビスク」。渥美さんは水揚げのあと、鮮度を落とし雑味の元となる内容物を取り除いた殻付きのまま、真水にあてないよう丁寧に出荷する。
「放牧羊セルの炭火焼」。田尻のチーズ工房「どどいち」のモッツァレラと自家製の羊ハムを包んだ名取市「ファンファームなとり」の花ズッキーニ、東松島市「よつばファーム」のヤングコーンも主役級の存在感。
「はやせ鮎のコンフィ」。「浅野農園」のレッドロシアンケール、フェンネルの花。花山村「座主窯」のプレートで。

オーナーシェフの吉田勝信さん。扱う食材数は200を超えるだろう。日本酒(グラス700円~)は宮城の蔵元を揃え、ワイン(グラス660円~)はヴァン・ナチュールを中心に200種ほどをラインナップ。

ラトリエ ドゥ ヴィーブル

住所
仙台市青葉区本町1-10-15 齊藤ビル1F
電話
022-263-2113 ※完全予約制
営業時間
11:30~15:00、18:00~23:00
土・日曜、祝日11:30~15:00、17:00~22:00
定休日
不定休
席数
15席
目安
昼1万円、夜1万2000~1万5000円
予約
可 ※前日までの完全予約制
カード
喫煙
全席禁煙
メニュー
おまかせ(7品) 8580円 ヴィーブル(9品) 1万2100円 マルセンファームの赤い果実の贅沢しぼり 770円 亘理・結城果樹園のリンゴジュース 770円
住所
仙台市青葉区本町1-10-15 齊藤ビル1F
電話
022-263-2113 ※完全予約制
営業時間
11:30~15:00、18:00~23:00
土・日曜、祝日11:30~15:00、17:00~22:00
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※本記事の情報は掲載時の情報です

  • 取材・文:ナルトプロダクツ
  • 写真:齋藤太一