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北上

きたかみ

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地場の素材で描く、緻密にして果断なる料理

御料理 寺沢

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記事制作:
Kappo
御料理 寺沢

おくゆかしい造り、おくゆかしい人柄。なれど『御料理 寺沢』の料理は、緻密にして果断だ。

手に入り得る限りの上質な素材を購い、活かしきるために、基本的に2名以上での来店、2日前までの予約をゲストに願う。小体な個室がふたつ、実質昼夜合わせてそれぞれ2組ずつとやや緊張感を帯びる舞台立てではあるが、ひとたび席に着けば時ごとに心がほぐれていくのは、寺沢さん夫妻のあたたかな気遣いが満ちているからだろう。キンと冷えた「酔右衛門」や「鷲の尾」で喉を潤した頃に登場した先付は、蓮葉の上の水鞠のように寄せられた蒸し鮑と車海老、ウニ、生湯葉、焼きトマト、キャビア。鰹ダシのジュレをまとい、姿も味わいもきらきらと輝く。お凌ぎには穴子の蒸しずし。ふっくらと温かくまろやかな赤酢の酢飯にふかふかの穴子、甘み優しきツメの風味が梅雨冷えを忘れさせる。

三陸産の太刀魚、石川子芋、梅肉をのせた蒸しだこ、甘く炊いた茱萸、青梅の蜜煮などを寄せ、ひとつひとつ丁寧に磨き込んだ料理のパーツで連関する大きな味わいの絵を描き出した八寸は、『御料理 寺沢』の真骨頂ともいうべきひと皿だろう。サザエとインゲンをトリュフバター炒めにした一品も、この八寸に明るいアクセントを置いている。

ここ北上に暖簾を掲げて11年。全国から人の通う名店と呼ばれてなお、寺沢さんは「未だ挑戦の途中です」と言う。もっと良き素材を探し、良き仕立てを編み出し、楽しんでほしい。その貪欲さが、謙虚さを生むのだろう。

「八寸」。石川子芋、蚕豆、茱萸の甘煮、太刀魚の塩焼き、蒸しだこ、サザエとインゲンのトリュフバター炒め、伏見唐辛子、青梅の蜜煮。
寺沢さんの調理に立ち会いながら、話を聞きながら料理を楽しめるカウンター。
店主の寺沢勇人さん。日本料理以外の料理人との交流も多く、闊達なインスピレーションはジャンルレス。
「先付」。5時間かけて蒸した鮑の柔らかさ、車海老の弾力と濃い旨み、焼きトマトのじゅわっとあふれる甘酸っぱさなどがダシの風味の中で輝く。
「凌ぎ」。穴子の蒸しずし。

御料理 寺沢

住所
北上市大通り4-4-3
電話
0197-72-7708
※2日前までの完全予約制(2カ月前より予約受付)
営業時間
11:30~、18:00~
定休日
不定休
駐車場
3台
席数
6席
予約
席のみは不可
目安
2万円~
カード
喫煙
全席禁煙
メニュー
御料理1万6500円、1万9800円
飲物 400円~
住所
北上市大通り4-4-3
電話
0197-72-7708
※2日前までの完全予約制(2カ月前より予約受付)
営業時間
11:30~、18:00~
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※本記事の情報は掲載時の情報です

  • 取材・文:ナルトプロダクツ
  • 写真:池上勇人