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盛岡にフランス料理の王道あり。岩手のテロワールを味わう

Chez mura bleu Lis シェ ムラ ブル・リス

  • 盛岡市
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  • ビーフシチュー
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記事制作:
Kappo
Chez mura bleu Lis シェ ムラ ブル・リス

店の名の通り、まるでシェフである村上知規さんの家に招かれたような。エレガントで趣味のいい空間には、優しく穏やかな空気が満ちている。

盛岡で「むら八」といえば、知らぬ人のないとんかつの名店。上田店のメニューが示すように、洋食店として始まった昭和12年創業の老舗だ。創業者である村上倉蔵さんは、ロシア客船で料理人をしていたという。なるほど、カツレツやビーフシチューといった今に連なるメニューの源泉は、ここにあるのだろう。初代の味をその心ごと二代目である一夫さんが継ぎ、祖父と父の背を見て知規さんも料理人を志した。しかし十代のある時、テレビ番組で出会ったフレンチシェフの姿とその料理に、彼は魅了される。フランス料理を学び、「トゥールダルジャン東京」でドミニク・コルビ氏とフィリップ・ジェゴ氏の薫陶を受けた。そして2013年3月、自宅を改装し『シェ ムラ ブル・リス』を開店。大阪、フランス、東京と美食の都に住み、料理したからこそ、岩手の風土と食材の価値に改めて気づいたという。

ランチでも大人気のビーフシチューは、祖父の時代からのレシピをたえずブラッシュアップしながら、村上さんが『シェ ムラ ブル・リス』のスペシャリテとして完成させたもの。あえてブランド指定せず、その時ごとに良いものを吟味して仕入れた岩手県産黒毛和牛のバラ肉を焼きつけ、低温のブイヨンでじっくりと煮る。ソースはスネ肉とフォン・ド・ヴォー、鴨と鶏のブイヨン、赤ワイン、ルビーポルト、セロリを何日もかけて煮詰め、濾し、さらに煮詰めて。ソースと肉を合わせ、特注した南部鉄器のキャセロールでサーブ。蓋を開けた途端、たまらない香りが鼻腔に満ちる。まるで琥珀色のビーフコンソメのような、純かつ玄妙な香り。味わいもまた、香りの印象そのまま。濃厚だが雑味なく、ひたすら牛の旨みに収束していく。黒ワインとまで呼ばれるマルベックの特徴がよく出た「シャトー・ウージェニ」の凝縮感が、この深い味わいによく似合う。

豚肉もまた、佐助豚や館ヶ森高原豚といった県内の豚を仕入れごとに吟味。「むら八」を長年支える目利きの達人もお墨付きの逸品だ。低温でしっとりとジュを回すように火入れしたのち、南部鉄器でグリルしたリブポークは、噛むごとに旨みがじゅうっと染み出てくる。地元の米味噌とシャンパーニュで仕立てたフルーティーなソースに加え、「ジュリアン・ド・サヴィニャック」のフレッシュな果実味が第二のソースのように効いてくるだろう。

食材の生まれた地、すなわちテロワールを村上さんは大切に料理する。だから自然と、食材の組み合わせや調味料にも岩手の風土が滲む。この地でなければ、そして村上さんでなければ、と、多くの人がこのレストランを目的に旅をする。そんな唯一無二のフランス料理が、盛岡にはある。

赤身の旨さを第一に選んだ「岩手県産牛フィレのポワレ」。見事なセニャンに仕上がったフィレに、モリーユ茸の香気とルビーポルトのソース。「ドメーヌ・ラ・ミジャンヌ」(グラス・1200円)のスパイシーで軽やかな味わいをあわせたい。
「岩手県産リブポークの南部鉄器グリエ」。「ジュリアン・ド・サヴィニャック」(グラス・1300円)。
「岩手県産黒毛和牛のシチュー」。オードブルやデザートはもちろん、コースまで楽しめるテイクアウトメニューの中でも一番の人気。
「できるだけゆったりと過ごしてほしい」と席は回転させず、閉店時間も設けていない。
オーナーシェフの村上知規さん。

シェ ムラ ブル・リス

住所
岩手県盛岡市神明町10-10
電話
019-601-5205
営業時間
11:30~13:30LO、18:00~20:00LO
定休日
月曜、月4回休みあり
※月曜が祝日の場合は営業することがあり
駐車場
なし
席数
20席 
予約
席のみは可
目安
昼5000円~6000円、夜1万円~1万5000円
カード
可 
喫煙
個室のみ喫煙可
メニュー
ランチコース2900円~
季節のランチコース3500円~
ディナーコース4000円~
おまかせディナーコース1万1000円~
住所
岩手県盛岡市神明町10-10
電話
019-601-5205
営業時間
11:30~13:30LO、18:00~20:00LO
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※本記事の情報は掲載時の情報です

  • 取材・文 :ナルトプロダクツ
  • 写真:齋藤太一