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大浦葡萄酒

  • 南陽市
  • お酒
  • ワイン
  • ワイナリー
記事制作:
Kappo
大浦葡萄酒

1939年の創業以来、地元産ブドウにこだわったワインを造り続ける老舗ワイナリー。赤湯をはじめ松沢や金沢など周辺一帯が良質な産地という地の利を得て、長く大手ワインメーカーの下請け醸造を担っていたが、30年前から自社ブランドワインの生産へと主軸を移行した。現在は地元の昔ながらの契約農家や業者からの買いブドウで『大浦葡萄酒』シリーズをはじめ約30種類、年間8万本を生産している。

近年はこうした銘醸地でさえ生産者は減少傾向にあり、ブドウの確保が以前よりも難しいことから、4代目の大浦宏夫さんは高齢農家の畑を引き継ぎ、ブドウ栽培も手掛けるようになった。「30aほどのデラウェアの畑です。生食用でしたが有核に切り替えました。雑草は除草剤を使わず適宜刈り取り、剪定した枝をチップにして撒いたりしながら、より自然に近い環境で栽培することを目指しています」

自社畑のブドウで新たなワインを目指すのも醸造家として当然の憧れ。大浦さんはそれを「My Vineyard Delaware」で実現した。しかも樽熟成のオレンジワインにして。「若手生産者が集う勉強会で国内のデラ100%ワインをテイスティングしたところ、他県のワインにも感銘を受けたものが多々ありました」特に印象に残ったのが、発酵前の数日間マセレーションしたのち樽発酵、樽熟成させたオレンジワインだった。「ラベルのデザインもワインっぽくない感じ。恐る恐る飲みましたがインパクトは強烈。こんなワインを造ってみたいなと思いました」

一般的に醸し発酵後は瓶詰めしてデラウェアの感じに戻すことが多く、樽熟成は珍しいという。不安もあったが、デラ+樽はどうなるのか?という好奇心が大浦さんを動かした。「果実の旨みをより深く出すよう約10日のマセレーション後に搾汁し、フレンチオーク樽で1年熟成しています。デラっぽくないデラ100%ワインがコンセプトです(笑)」

今後も自社畑を増やすこと、そして金沢地区にわずかに残る甲州の古木を、地域の業者と協力して存続したいと考えている。「江戸時代後期、このあたり一帯は甲州ブドウの栽培が盛んでした。いつか地元の甲州でワインを造りたいですね」

直売店「Wine Shop 312」。自社製品(ワイン・ジュース)のすべてを販売しており、地元客には一升瓶ワインが人気。
大浦宏夫さんは広島の醸造研究所や山梨で醸造を学んだのち4代目に就任。「山形は豊富な食材を活かした料理を楽しめる所。その料理に合う地ワインを造っていきたいですね」
自社畑のデラウェアで造るワインに手応えを感じている。高温で糖度が高くなっても、ワインの味を引き締める酸もしっかり表現したいという。
「日本酒蔵みたいでしょう」と案内されたのは、創業当時から86年使い続けるワイン蔵。赤ワインは昔ながらの琺瑯タンクを使用し醸し発酵を行っている。
(左)
アイススウィートスチューベン2018
375ml/2393円
スチューベンの果汁を凍結させ、密のように甘い果汁だけを贅沢に発酵。スチューベンの華やかな芳香と優雅な甘味が特長のデザートワイン。

(中央) My Vineyard Delaware2020
720ml/2838円
自社畑の有核デラウェアを使用。琺瑯タンクで発酵。10日のマセレーション後、1年の樽熟成。オレンジというより、濃厚なロゼのような色合い。ヴィンテージ2020を年内発売予定。

(右) THE ORANGE デラウェア2024
750ml/1683円
赤湯産デラウェアの風味がそのまま楽しめる味がコンセプトのオレンジワイン。ヴィンテージ2023を10月上旬に発売。

大浦葡萄酒

住所
山形県南陽赤湯312
電話
0238-43-2056
駐車場
10台
定休日
無休(年末年始休みあり。要確認)
住所
山形県南陽赤湯312
電話
0238-43-2056
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Wine Shop 312

営業時間
9:00~17:30、日・祝日10:00~17:00
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※本記事の情報は掲載時の情報です

  • 取材・文:川野達子
  • 写真:池上勇人