土地に適したブドウこそ テロワールの表現者
ウッディファーム&ワイナリー

「9割は言い過ぎかな。でもワインは8割以上ブドウにかかっています。ブドウの品質がよくなければ、いくら頑張ってもおいしいワインはできません」。代表であり栽培責任者を務める木村義廣さんの言葉に、ドメーヌと名乗る覚悟を知る。何よりも優先すべきはブドウの状態。自社畑であればこそ、熟度を見分けながら収穫できる。
ワイナリーの設立は2013年だが、果樹農家だった先代の義男さんがワインメーカーと契約し、1974年にカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に着手したことが、ワイン用ブドウ栽培に挑戦する始まり。ほかにもメルロ、シャルドネ、ピノ・ノワールを契約栽培したが、ブルゴーニュ系品種は安定しなかった。「シャルドネは魅力のある品種ですが雨の多い年はひどい。果皮の薄いピノ・ノワールも反応は敏感で、一夜の雨でも実が割れてしまう。この土地に適した品種の選定が必要だと思いました」
国内外のブドウ産地やワイナリーを訪れ、適地適作こそ良質なブドウ栽培の第一歩だと学んだ。耐病性があれば手もかからず収量も安定する。その理解とともに、自分もいつかはワイナリーを、との想いを強くした。自分が育てたブドウを原料として販売するのではなく、ワインを造りたいのだと。
現在は9haの畑で9種類の欧州系品種を栽培している。赤ワイン用品種の基幹はカベルネ・ソーヴィニヨン。白は、温暖化を見据え何種類か試験栽培した中から、プティ・マンサンとアルバリーニョに期待している。「プティ・マンサンはピレネー山脈の麓で栽培されてきた品種。植生や雑草、茂り具合は上山と似ています」。高貴な香りを放ち続けるワインは他を圧倒する魅力があり、ワイナリーの中核をなす品種という確信を得て、今後は栽培面積の拡大を予定している。



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※本記事の情報は掲載時の情報です
- 文:川野達子
- 写真:池上勇人