伝統を守り続ける信州を代表するそば
”戸隠そば”の隠された、旨さの秘訣とは…!?

旨いそば屋が軒を連ねる戸隠。旨いそばの代名詞である「霧下そば」が育つ名産地であるが、戸隠そばの旨さの理由は果たしてそれだけなのか。戸隠きっての名店で、その秘訣をひもとく。
戸隠の気候と清冽な水が育むハレの日のもてなし料理「戸隠そば」
戸隠神社へ詣でる信者へのハレの料理として伝わった戸隠そば。江戸時代、その評判は遠く江戸にまで届いていたという。戸隠のそばは「霧下そば」とも称され、昼夜の気温差があり朝方霧が降りる戸隠周辺の気候が、信州きっての旨いそばを育ててきた。戸隠山や飯綱山からの清冽な伏流水が、なめらかな喉越しと豊かな風味を生み出している。最大の特徴とされるのはその盛り方で、一口ほどの量に束ね、5 ~6 束を地元の根曲がり竹で編んだ平らな籠の上に盛る。「ボッチ盛り」と呼ばれ、元々は神様に奉納するための盛り方なのだ。その歴史と自然の恵みが生み出す絶品そばをぜひ堪能してほしい。

戸隠へ行ったら立ち寄りたいそば店
旨い店には訳がある。その旨さの秘密とはなんなのだろうか。30店舗以上のそば店がひしめく戸隠で、一度は訪れたい名店を、秘訣とともにご紹介。
厳寒仕込みの霧下そばが旨さの決め手
戸隠そばの店のなかでも随一の行列ができる「うずら家」は、地元生産者が栽培している地粉を使用。年間を通して新そばの風味を楽しんでいただきたいと、10~11月に収穫される新そばを、熟成が進んで最も美味しさが増す真冬の厳寒期に石臼製粉し、マイナス20度の冷凍庫で保存している。これにより、旨味を完全に残した新鮮なそば粉の味わいを提供できるのだ。そんなそばの味を楽しむなら、ざるそばがおすすめ。角が立ったコシの強いそばをひと口すすると、熟成と糖化によって甘味が備わった、滋味深いそばの味と香りがストレートに伝わってくる
旨さの秘訣
熟成が進んでそばの旨さが最も増す厳寒期に石臼製粉。冷凍保存して、使うごとに解凍している。1日に打つ量が決まっているので、売り切れにならないよう、早めに並ぶのがおすすめだ。


戸隠の風景とともにたぐるぼっちもり
戸隠の大自然のなか、木のぬくもりが感じられる広々とした空間で極上のそばをいただける「そばの実」。生産者から直接仕入れた戸隠産のそばの実は、冷暗所で丁寧に保存。そばの実が劣化しないよう使う分だけ脱皮し、毎朝石臼で自家製粉しているため、挽き立ての新鮮なそばを味わうことができる。さらに、お店の下から涌くミネラル豊富な地下水で仕込むので、そばの風味がより一層引き立てられる。見た目は艶やかで、のど越しが良い細めに打たれた二八そばをぜひ堪能してほしい。
旨さの秘訣
そば打ちで使用する水は戸隠の山々の伏流水。ミネラルを多く含んだ冷たい水は、そばをきゅっと締め、コシを出す。毎日の気温や湿度に合わせ、微妙に変える挽き方や打ち方も、そばの実の美味しさの秘訣。


戸隠の自然の恵みを贅沢なまでに堪能
1950(昭和25)年より営業する「手打ちそば 岳」は、戸隠の食の魅力がたっぷり詰まったお店。人気メニューは、「季節の素材の天ぷらざるそば」。豊かな香りと濃厚な甘みが特徴の戸隠産のそば粉を使い、清冽な戸隠の水で手打ちされるそばは、細めでのど越しがよい。そばのおともに楽しむ天ぷらの素材も、春は山菜、夏は野菜、秋は天然きのこと、戸隠の貴重な自然の恵みを存分に堪能できるものばかりだ。また、季節ごとで素材が変わる十割と八割の二種の蕎麦やそばがき、季節の素材が楽しめる「雨の日限定コース」も県内外から訪れるファンを楽しませている。
旨さの秘訣
戸隠産のそば粉を使用するのはもちろんだが、旬の素材も戸隠のものを使うこだわりよう。素材そのものの味を大切にした調理法で、季節感を演出する。


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