55 Stations|新幹線で行く、思いがけない出会い

新幹線で行く思いがけない出会い
JR東日本の新幹線で行ける55駅の魅力情報が満載!

さくらんぼ東根

さくらんぼひがしね

sakuranbohigashine

信念を貫き、本物の発酵と熟成を新たな商品づくりに活かす

壽屋 寿香蔵

  • 東根市
  • グルメ
  • 漬物
  • りんご酢
記事制作:
Kappo
壽屋 寿香蔵

氷雪の冬を生き抜く糧として、酷暑の夏に働く供として、東北の暮らしに漬物は欠かせない食文化だった。しかしその塩分量が病因として問題視されるようになると、多くの漬物は減塩と引き換えに保存料や化学調味料に頼らざるを得なくなっていった。

代表取締役の横尾友栄さん。山形では知らぬ人のないアナウンサーとして人気を博したのち、実家である『壽屋』へ入社。東根のおかあさんたちが作り続けてきた漬物をベースに、昭男さんの信念と友栄さんのアイデアを活かしたものづくり。

「それがあたりまえとなっていた時代に、うちの漬物には食品添加物を一切使わないと決めて実行したのが、私の父である横尾昭男でした。当初は、味が薄くなった旨みが足りないと言われることも多かったそうです。しかし、父は酢を使って野菜本来の旨みや甘みをひきだしつつ保存性も高められないか、と考えます。試みは成功しましたが、今度はその酢に疑問を持ち、本当の意味での食品添加物不使用を目指すなら、添加物を使っていない酢を自家製造するしかないという結論に至ったんです」

横尾友栄さんは、父の志をそう振り返る。東根の特産物であるりんごに着目し、もろみ免許を取り、りんご果汁100%をアルコール発酵させたのちに酢酸発酵させ、熟成させる。このりんご酢によって『壽屋』の漬物はやわらかく清々しい旨みを得るとともに、「茜姫」という愛し子のような商品をも生み出したのだ。 

花の時期に雪が降る東根でも栽培でき、大粒の実をつける節田梅。これを完熟で摘みとり、砂糖とりんご酢、ほんの少しの塩のみで漬けたのが「茜姫」だ。蜜のように滴る甘さと、心地よい酸味。素朴と洗練を併せ持つ、なんとも贅沢な味わいだ。 

平成の『壽屋』を支えてきたりんご酢。令和のいま、このりんご酢がまた新たな展開を見せている。 

「最初は漬け込み材料として使うだけでしたから、使い切れなかったりんご酢を蔵で寝かせていました。しかし1年、2年と四季を経るうち、おいしさが増してきたことに気づき、3年熟成の『本格醸造りんご酢』として売り出すことになったんです」 

大人気商品へと化けたこのりんご酢だが、その底力はさらに深い。アルコール発酵と酢酸発酵の二段構えプラス熟成という、私たちのりんご酢のおいしさのメカニズムが明らかになれば、さらなるおいしさの探求にきっと役立つはずと思い、慶應義塾大学先端生命科学研究所と山形県工業技術センター食品醸造技術部と共同研究をしました。その結果、市販のリンゴ酢よりも旨みが強いことが科学的に確認されたんです現在はさらに研究が進んでおり、壽屋独自の酢酸菌が生息していることも分かってきている。この酢酸菌のみでりんご酢製造なども検討し始めています」。りんご酢の持つポテンシャルの高さに、今後ますます注目が集まりそうだ。 

左手に店蔵、右手に「野守の宿」。東根伝統の「ぶっ漬け」や甘梅漬けを自宅で作ることのできるキットも人気。
築120年の商家を再生した「野守の宿」。三和土の土間に囲炉裏、座敷の奥には蔵座敷。2月中旬から11月末にはこの土間にて「ぬもりカフェ」をオープン、自家製の甘酒や梅シロップを使ったドリンクを展開。
梅干しにおみ漬け、青菜漬けなど山形伝統の漬物に加え、一番人気の梅たくあん、舟形マッシュルームのピクルス、さくらんぼの甘漬け「やさしいさくらんぼ」など季節ごとに50種ほどの漬物をラインナップ。
まさに甘露という表現がふさわしい『茜姫』。粒の大きさやパッケージなども多彩。漬け込んだ際に滲みだす梅シロップも漬物に使用されている。
「本格醸造りんご酢」(150ml・486円、720ml・1404円)はどちらも大人気商品だ。さらなるプレミアム「十年熟成りんご酢」も限定販売。

壽屋 寿香蔵

住所
山形県東根市本町6-36
電話
0237-42-0173
営業時間
9:30~8:00
定休日
無休
カード
喫煙
全席禁煙
メニュー
梅たくあん  453円~ 
わらわら飯喰は  518円 
茜姫ひとつぶ(4粒入)  648円 
あかね姫もなか(8個入り)  691円 
住所
山形県東根市本町6-36
電話
0237-42-0173
営業時間
9:30~8:00
もっと見る

サイト掲載日 

雑誌掲載日   
※本記事の情報は掲載時の情報です