〝ワインを身近に〞の想いを胸に 市街地にワイナリーを構えた若き醸造家
DROP ドロップ

「その時々の自然の情景を感じるようなワインを造りたい」。今年4月に設立したワイナリーで、出来正光さんが目指すワインの方向性だ。
大阪出身の彼が上山の地を選んだのは「ご縁があったから。それに東北でやるなら山形以外の選択肢はありませんでした」。理由を尋ねると「トンネルを抜けて広がる青空が爽快で(笑)。1日の寒暖にも差があるし、ブドウ栽培も昔から盛ん。最適なエリアだと感じました」
上山市久保手地区にデラウェアの圃場と遊休地を借り受けた2019年より、主に買いブドウで委託醸造を開始。また生食用だったデラウェアの畑は加工用に仕立てを変え、自園にはケルナー、ソーヴィニヨン・ブラン、アルバリーニョ、シラー、カベルネ・フランなど欧州系品種を植樹。自社ワイナリーでの初醸造に備え準備を進めてきた。
出来さんがワインの世界へ飛び込んだのは20歳の時。「働いていた飲食店で偶然口にした『メゾン ルロワ シャルムシャンベルタン1985』に感銘を受けました。87年生まれの僕より長生きの液体に心を奪われ、すっかりのめり込んでしまったんです」。自分の知らない新しい世界へ、ソムリエとして一歩を踏み出した。
フランスやモナコでソムリエとしての研鑽を積み、向かったおーすとらいあのワイナリーでワイン造りの楽しさを知ることになった。ワインとともにあるライフスタイルに共鳴し、いつかワイナリーを、との夢を抱いて栽培や醸造を学び、国内外のワイナリーで経験を重ねていった。
ワイナリーは自園から少し離れた市街地に構え、ワインスタンドを併設した。カウンターにはもちろん彼が立つ。ワインが造られた場所で飲むことはよくあるが、造った人の話を聞きながら味わえるのは稀なこと。「国内外を問わず、自分が飲んでおいしいワインや、タイプの異なるワインを用意しています」。DROPのワインが供されるのは言うまででもない。





750ml/4200円
自園のデラウェアに少しだけケルナーをブレンドし、3週間皮ごと樽発酵、樽熟成。程よいオレンジ色が美しく、キンモクセイやバニラの香りがクリアで華やかな印象。その後に力強い旨みが続く。
(右)ヴァンダンジュ2022
750ml/5000円
上山のマスカット・ベーリーAを主体に、自園のシラー、カベルネ・フランを追加し房ごと6カ月間醸し発酵。タンニンが強そうなイメージだが、意外になめらかで優しい味わい。

750ml/4400円
フラッグシップ的な1本。自園のデラウェア100%使用。優しくダイレクトプレスし樽発酵、樽熟成。澱とワインを適度にかき混ぜ、その細かな澱とともに瓶詰め。口当たりがよく、軽い炭酸の刺激が心地よい。
DROP
- 住所
- 山形県上山市沢丁2-17
- 電話
- なし
- 駐車場
- 3台
- 住所
- 山形県上山市沢丁2-17
- 電話
- なし
ワインスタンド
- 営業時間
- 金・土曜16:00~22:00 LO
- 休業日
- 月~木曜、日曜
- 営業時間
- 金・土曜16:00~22:00 LO
- 休業日
- 月~木曜、日曜
- 繁忙期など営業日時に変更あり、要確認
- 繁忙期など営業日時に変更あり、要確認
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雑誌掲載日
※本記事の情報は掲載時の情報です
- 取材・文:川野達子
- 写真:池上勇人