コーヒーを、民藝に
ムヨカ珈琲ロースタリー

栗原市栗駒の六日町通り商店街に2023年4月にオープンした珈琲豆焙煎所。開いたのは、同商店街で『cafeかいめんこや』を共同で営み、また同市内『風の沢ミュージアム』のオーナーを務める杉浦風ノ介さん。
カフェの開業にあたり、カフェ本を頼りに県内外の店を巡り、仙台で出会った老舗店主を無断で師と仰いだ。2015年のオープン時は師匠の店から仕入れていた焼き豆は、しばらくして手回し焙煎機で自ら焼くようになった。「豆屋を始めたのは『風の沢ミュージアム』を存続させる事業の一環として。当初はミュージアムの敷地内でできることはないかと考えてみましたが、商店街の近くに焙煎所はなかったし、空き店舗の活用にもなるし。人口は多くはないけれど大丈夫じゃないかと師匠も後押ししてくれました」


ベーシックとして提案する「ムヨカブレンド」は、世界基準で8段階ある焙煎度合いの中から1番目と2番目に浅いライトとシナモンローストを除いた6段階を用意する。「師匠に出会うまで、コーヒーは豆の産地で味が違うと僕は思っていた。もちろん豆の種類によって風味や香りに差はあるけれど、酸味・苦味・甘味などの味を決める決定的な要素は焙煎度合いだと知りました。ぜひ焙煎度に注目して好みの味を見つけていただきたい」。ほかにスペシャルティの「エチオピア」と、「カプリシャス(気まぐれ)」と称して杉浦さんが気まぐれに入れ替える豆を販売。いずれも複数の焙煎度合いから選ぶことができる。


「名もなき職人による生活に根ざした健全なコーヒー」を目指しているという。「湯を沸かして、ボーッとしながらガリガリと豆を挽いてコーヒーを飲む。そんなふうに、日常に余裕のある暮らし方ができるといいですよね」。良質な生豆と最適な焙煎は言うまでもなく、日用品という位置づけになるよう廉価ということを心がけ、購入量に応じて割引くサービスもある。 「商店街は日用品を売っていくところ。同時に観光客にも来てもらいつつ、地方に住む人々の暮らしが豊かになり、定住者を増やすことが大事。地方だから田舎だから適当に、じゃなく、地方で田舎だからこそちゃんとやる!そういう場所に人は来てくれるのだと思います。僕のやっていることは、その実証みたいなものです」
「ムヨカコーヒー おすすめの淹れ方」と書かれた一紙をもらう。準備するものの中に、杉浦さんとおぼしきイラストとともに「マイペースの余裕」と書いてある。おいしいコーヒーを淹れるコツに違いない。でもそれがなかなか難しい。余裕のない時ほど飲みたくなるものだから。


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- 取材・文:川野達子
- 写真:池上勇人



