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くりこま高原

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Kurikoma-Kogen

商店街のシャッターを開け、新たな活気を生み出す

cafeかいめんこや

  • 栗原市
  • グルメ
  • カフェ
  • 古民家
記事制作:
Kappo
cafeかいめんこや

持続性のある街を目指し起業や移住の支援に取り組む

地方商店街の衰退は著しい。誰が付けたか「シャッター通り」も増える中、移住者が次々と個性的な店を構える地域がある。

栗原市栗駒の六日町通り商店街。よそから来た人が空き店舗を利活用するには受け入れ態勢の整備も重要だが、ここには『六日町合同会社』というまちづくりのための会社がある。その中心的存在となっているのが、自ら移住し、古民家を改装した店舗でカフェを営む杉浦風ノ介さん。

「母が買い取った古民家を修復し『風の沢ミュージアム』を立ち上げることになって、僕は2005年に移住しました。そのころから、いつか古民家に住めるといいな、と思っていたんです」

ポスター張りやパンフレットの配布などでたびたび訪れていた六日町通り商店街は、昭和レトロな感じでいい雰囲気だった。イベントを企画している商店街のおじさんたちも楽しそうに見えた。「僕は基本的に人が好きで古いものが好き。この商店街に”へんちくりん”を集めて面白くしたいと思うようになりました」。空き店舗の古民家を借りられる手はずもつき、2015年11月、『cafeかいめんこや』をオープンした。

この地にはかつて細倉鉱山があり栗原電鉄も運行していた。「40年前の商店街は100を超える店で賑わい、”眠らない街”とか”県北の上海”と呼ばれていたそうです」。鉱山の閉山とともに人は減り、電車の廃線とともに過疎化が進む。杉浦さんの開業時、営業していたのは45店舗ほどになっていた。

少しずつでも店を増やしていきたい。その前提として商売が成り立って続けられることが必須。「観光地でなくても、個性的な店が集まる面白い商店街に人は来てくれると思いました」。”へんちくりん”が集まれば、必然的に面白くなるんじゃないかと考え、地域おこし協力隊とともに空き物件の状況を調査して結果を公開。行政とも連携し、開業したい人とのマッチングを支援することにした。試しに出店できるシェアショップも運営し、新規参入しやすい環境づくりも行っている。

杉浦さんがカフェを始めてから、アウトドア用品店や、小さな出版社の珍しい本を揃えた書店など、新たに16店舗が開業した。成功事例として県内外からの視察も多いのだが、営業店舗数は杉浦さんが開業したころより減っている。「店主が高齢で跡継ぎもいない。閉店したお店は、増えた分よりたくさんあるということです」
 

杉浦風ノ介さん。1977年京都府生まれ。『開明香』という目薬が店名の由来。
関係人口づくりの実証実験としてコワーキングスペースを店舗2階に作った。「片田舎で需要はあるのか調査中です」。Wi-Fi完備でプリンタなども設置してある。

シャッターを開ける次の一手として、関係人口の増加を模索する。「イベントを開催し交流人口を増やしながら、ゲストハウスやシェアハウスなど気軽に立ち寄れる場所をつくり、ちょっとずつ関係性を深めて移住につなげるのがいいですよね」

商店街としては個人事業主が増え店舗が増えることを理想としつつ、雇用という側面で移住者の受け入れも課題に挙げる。手始めに、向かいの空き店舗で珈琲豆加工販売を事業化することにした。「当面は僕が焙煎しながら、将来的には雇用を生んでいく予定です」。客とは年間契約を結び定期的に珈琲豆を届ける。「1日の中に、少しはゆったりとした時間が必要です。湯を沸かして豆を挽くときぐらいボーッとしてもらえたらいいですね」。気になる店名は「現在検討中」とのこと。

カフェの店主に合同会社の代表、そして珈琲豆店も営むことになる。「実はこの10月から『風の沢ミュージアム』の代表にも就きました」。六日町通り商店街の”へんちくりん”代表でもある杉浦さんは楽しそうに前を向く。

「25年後までに、”へんちくりん”をあと80人集めたいと思っているんです」。すでに20人はいるらしい。「ここから歩いて行ける範囲に個性的な人が100人いたら楽しいだろうなあ」。その頃自身は「近所の寺の住職になって”テンプルうどん”を出したい(笑)」と夢を語る。

気付けば日がだいぶ傾いていた。ぼわ〜んと灯るオレンジ色の明かりに吸い寄せられるように続々と人が集まってくる。「今日は月に一度の”六日知らず”の日なのです」。六日町にちなみ、毎月6日の午後6時に開催される、誰でも自由に参加ができる交流会。”六日知らず”は落語の枕詞を引用している。「指を折りながら1から数を数えてみてください。5まで数えると握りこぶしになりますが、そのこぶしを開かないと6は数えられません。一度つかんだものを手放すのは難しいもの。でも新しい何かを得るために手を開く勇気を持ちましょう。そんな戒めを込めているんです」

面白い人がどんどん集まる予感がする。

カフェにしたのは「人が集まれる場所にしたかったから」。学校や飲食店などで使われていたテーブルや椅子はまったく不揃いなのに、不思議と調和し居心地がいい。

cafeかいめんこや

住所
宮城県栗原市栗駒岩ケ崎六日町86
電話
090-1169-1523
営業時間
11:00~16:30
定休日
水曜日
予約
カード

※取材時の情報です

住所
宮城県栗原市栗駒岩ケ崎六日町86
電話
090-1169-1523
営業時間
11:00~16:30
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※本記事の情報は掲載時の情報です

  • 取材・文:川野達子
  • 写真:池上勇人