豪快に手づかみで食べる佐久の名物。
体験型グルメ「むしり」を堪能しよう!

佐久平駅から、JR小海線、もしくは観光列車「HIGH RAIL号」に乗り換え向かうのは臼田駅。長野県佐久市の南部に位置する臼田は、豊かな自然、宇宙へのまなざし、そして歴史の深みが交差する、知る人ぞ知る魅力的なエリアです。こちらで地元民から“ソウルフード”と親しまれているのが「むしり」という鶏料理。現在、臼田地区では「むしり料理」を取り扱う飲食店が5軒あり、それぞれが独自の味とスタイルで提供しています。手間を惜しまない職人の技が詰まった「むしり」。臼田ならではの“体験型グルメ”を、ぜひ旅のひとコマに加えてみてください。
こんがりとしたきつね色と芳しい香りが食欲をそそる
むしりの基本条件は次の4つ。
その1:長時間かけて鶏の旨みを引き出すスローフード
その2:むしりのテーブルマナーは「豪快に手でむしる!」
その3:一片の肉も無駄にしないSDGsメニュー
その4:手間暇と時間がかかるため予約は必須
臼田で「むしり」を味わえる料理店は現在5軒。その中でまず紹介したいのが「若鶏むしり 瀬川」。むしり料理を考案し、臼田エリアにその魅力を広めた立役者ともいえる一軒です。創業は昭和34年。初代店主・瀬川清さんは農家出身でしたが、佐久市でブロイラー農家が誕生したことに着目し、鶏料理店を開業。周囲からの反対もありましたが、「他にはない鶏料理を提供したい」と家運を賭けて挑戦を決意。家名をそのまま店名に掲げ、試行錯誤の末にたどり着いたのが、半羽丸ごと焼き上げる独自の製法でした。当時は高級料理とされていましたが、近隣の総合病院に勤める医師たちを中心にリピーターが続出。「蒸し焼きにした鶏をむしって食べるから“むしり”という名がぴったりだ」という常連のひと言から、料理名が誕生したといいます。


現在は二代目店主・信吉さんがその味を受け継いでいます。生後45~60日の国産若鶏を厳選し、塩こしょうを丁寧に馴染ませたのち、高温の窯で約1時間かけて焼き上げます。厚い胸肉も薄い手羽も均一に味をなじませるには職人技が必要ですが、「右手が覚えている」と語るほど、長年の経験が支えとなっています。窯に入れた後は何度も火の当たり具合を調整し、全体を美しいきつね色に仕上げます。完成した鶏をむしると、旨みをたっぷり含んだ肉汁がソースのようにあふれ出し、なんとも言えない芳ばしい香りが広がります。パリッと焼き上げた皮、ジューシーなもも、旨みの強い手羽と、どの部位も飽きることなく楽しめるため、半羽の完食もあっという間です。瀬川はテイクアウトのみの提供。必ずご予約のうえ訪れてください。

三代続く、揚げむしりの原点

「鳥忠食堂」は、臼田の“むしり文化”を語るうえで欠かせない存在です。「むしり発祥店として暖簾を守り続けています」と語るのは、現在三代目の店主。地元産の国産鶏を使い、もも肉を香ばしく揚げた「揚げむしり」は、外はカリッと、中は驚くほどジューシーです。
店内では定食スタイルでも提供しており、白ごはんとの相性も抜群。揚げたてを豪快に手でむしる瞬間こそが、臼田流の食べ方。世代を超えて愛される一皿には、地域の味と誇りが詰まっています。
60年受け継がれる臼田の“若鶏の味”

佐久市臼田で60年以上にわたり暖簾を守り続ける「みよしや」は、鶏本来の旨みを最大限に引き出すことにこだわった老舗の若鶏料理専門店です。先代から受け継いだ製法は、シンプルな醤油ダレに一晩漬け込み、オーブンでじっくり焼き上げるというもの。余計な味付けをせず、鶏の風味と香ばしさを丁寧に引き出すことで、どこか懐かしく、飽きのこない味わいに仕上がっています。
店主の小金沢さん夫妻が守るこの味は、地元客はもちろん、遠方から訪れるファンにも愛され続けています。テイクアウトにも対応しており、旅の途中でも臼田の味を持ち帰ることができます。
瀬川の伝統を受け継ぐ、香ばしき一羽

佐久市臼田にある『ビッグ・ベン臼田店』は、地元で長年愛される洋食レストラン。本店「瀬川」から受け継いだ名物「若鶏むしり」は、イートイン(1,330円)でもテイクアウト(1,300円)でも楽しめる人気メニューです。
高温でじっくり焼き上げた若鶏は、皮はパリッと香ばしく、肉はふっくらジューシー。噛むほどに鶏の旨みが口いっぱいに広がり、シンプルながらも奥深い味わいが魅力です。昭和の香り漂う店内で、地元の人々に親しまれてきた味を堪能するひとときは、旅の記憶に残ること間違いなし。むしり以外にも「超絶厚切り角煮定食」(1,380円)も人気。佐久のご当地グルメを味わいたい方には、ぜひ立ち寄っていただきたい一軒です。
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- 取材・文・写真:長野Komachi編集部



