他では食べられない独創的なそばを提案
佐久で食すオリジナリティ溢れる絶品そば

長野県の中でも健康長寿のまちとして知られる佐久。その秘密は、食材にあり―。晴天率が高く、自然環境に恵まれた地が育む食材と、それを生かす料理人の情熱が、独特のそばを生み出す。素材とアイデアと技が融合したそばを提供する、佐久で訪れるべきお店を紹介しよう。
すべて野山が教えてくれる―。里山料理の名店
佐久市の山あいに伝説的な料理人がいる。職人に敬意を表して店名は「職人館」。2024年、農林水産省の「料理マスターズ」でゴールド賞。全国3人受賞のうちのひとりに選ばれたのが館主の北沢正和さんだ。76歳になるが、23年には、京都であった「ドン・ペリニヨン」の催しに招かれた際、鹿肉のロースや野菜、山菜を縄文時代の調理法で仕上げ、招待客のシェフらを驚かせた。
「野山がすでに料理してくれてある。余計な手をかければ、野山の恵みを逃してしまうだけ。俺は、野山の恵みと生産者のご縁を皿の上に盛り付けるだけ」と、食材とそれを生み出す野山と生産者への感謝と愛情は深い。
野菜は地元の農家グループの人々から仕入れ、地元で採れた在来種の野菜と洋野菜を織り交ぜて、シンプルな調理法で、ひと皿を彩る。地元の生産者が手作りした豆腐による「みぞれそば」は、シンプルさの奥に、そばの滋味が感じられる。地元産小麦のユメアサヒと有精卵で打った自家製手打ちパスタは、長野市出身のアコーディオン奏者cobaさんとのご縁から生まれた、オリジナル料理だ。
佐久市出身の北沢さんが料理の道に進んだのは40歳頃。派手な料理が好まれたバブル期にあっても、「食養」を大切にした。食養は、「身土不二」「一物全体食」「不飽常食」の3つに集約され、生き物とそれが育つ土地・土壌は切り離せない。良い土で生まれたものを食べることが最も健康にいい―。そんな考え方だ。「信州の野山が料理人で、料理法は野山に教わる」という北沢さんの里山料理を愛してやまない人は多い。


職人館
- 住所
- 佐久市春日3250-3
- 電話
- 0267-52-2010
- 営業時間
- 11:30~15:00(17:00~は要予約)
- 定休日
- 火〜木曜 (祝日・GWは開館)
- 駐車場
- 10 台
- 席数
- 16席
- 予約
- 可
- カード
- 不可
- メニュー
- みぞれそば(1650円)、そばと何かほしい膳(4180円)、野にきけ膳(1万780円)
※取材時の情報です
- 住所
- 佐久市春日3250-3
- 電話
- 0267-52-2010
- 営業時間
- 11:30~15:00(17:00~は要予約)
そばの風味と自然の恵みを丸ごと味わう「水萌え・手碾そば」
かつて、佐久地方では客人をもてなす際に、よくそばを打ち、そのそばを打つのは一家の主婦が行い、玄そばを挽くのは子どもの仕事だったとか。はぎわらの手碾き(てびき)そばは、店主・萩原さんの祖母が打っていた田舎そばが原型。太くしっかりしたそばは、粗びきのため、しっかり噛むと、そばの実が口の中に残り、噛みつぶした時に「風味」と「甘み」が感じられるのが特徴。太めの麺の存在感もすごい。
また「水萌えそば」は、製粉をせず、低温の水に浸すことで、そばの実が発芽する瞬間の健康成分と風味を閉じ込める。これにより、そばの香りが飛ばず、甘みが増し、えぐみも消えて、「さわやかさ」が口の中に広がる。そばの内部にある甘皮の子葉の「緑」、でんぷんの「白」、果皮の付け根の 「赤」が麺に出て、見た目も鮮やか。製粉方式が開発される前の製法によるそばは、歴史さえも感じられる。
まろやかで温度変化の少ない浅間山の伏流水「小諸市の弁天の清水」を、毎朝、店主が汲んで来て、使っている。そば粉本来の風味を広げてくれる名水だ。
信州の食文化を今に伝えたいと、昔ながらの味を踏襲する「水萌えそば」と「手碾そば」を相盛りで楽しめるそば好きには特別な店だ。


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